2019 年 5 巻 1 号 p. 35-41
本研究では,大学女子アスリートの気分・感情がスポーツ外傷・障害の発生にどのような影響を及ぼすかを検証した.また,これらに指導者の交代や学年が上がるなどの環境の変化がどのような影響を及ぼすかについても検討した.そのため,大学女子バレーボール選手24名を対象に日本語版POMS短縮版を2018年2月末から3月末までに4回,指導者が交代し,学年が上がった同年4月上旬から6月末までに5回実施し,そこから得られた186例の回答を分析対象とした.その結果,緊張−不安,抑うつ−落ち込み,混乱の高まりと,スポーツ傷害の発生に関連があることが示唆された.また,指導者の交代や学年が上がるタイミングを境に緊張−不安,混乱が高まることが推察された.トレーナーにはアスリートに対する心理的な支援も求められるため,日頃から気分・感情を表出しやすい関係作りに務めることが必要であると考えられた.