2014 年 69 巻 3 号 p. 479-489
病原性細菌と宿主防御機構は, 両者の攻防の中でお互いの進化を遂げてきた。両者の相互作用を解明するためには個体レベルの研究が必須と考え, 細胞内寄生性細菌であるリステリア(Listeria monocytogenes)と細胞外増殖性細菌である黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)感染系を用いて, 両者の攻防をさまざまな側面から解析してきた。その中で, 感染防御におけるサイトカインの役割の解明, 肥満や糖尿病における宿主感染防御の減弱メカニズムの解明, ブドウ球菌エンテロトキシン(SE)ファミリー分子を用いた黄色ブドウ球菌ワクチンの開発, SEA の催吐メカニズムの解明について, 筆者の個体レベルの研究の歴史としてまとめた。