抄録
細菌は, 球菌, 桿菌, らせん菌など多様な形態を示す。しかし, それぞれの細菌には決まった形態があり, 長さや幅などは細胞集団の中で一定の範囲に保たれている。形態異常になると, 細菌が致死になる場合もある。したがって, 形態を保つことは重要である。細菌の形態は厳密な遺伝的制御を受けており, 細胞骨格タンパク質MreB アクチン, FtsZ チューブリンおよびそれらと相互作用する因子が, その制御に重要な役割を果たす。筆者らは, グラム陰性細菌大腸菌を用いて形態形成制御機構の研究を行ってきた。筆者らは新規形態形成制御因子としてRodZ を同定した。rodZ 欠損株は球菌になる。rodZ 欠損株, およびその抑圧変異株の解析から, 大腸菌における細胞極性, 長さ, 幅の制御機構が少しずつ明らかになってきた。RodZ はMreB と相互作用し, MreB フィラメント間の相互作用を制御する因子だと考えられる。MreB は細胞極性, 長さ, 幅の全ての制御に関わっている。一方, RodZ は長さと幅の制御には関与するが, 極性制御には関与しない。本総説では, MreB とRodZ の機能を中心に, 細菌の形態形成がどのように制御されているかについての最近の知見を紹介する。