日本細菌学雑誌
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平成29年浅川賞受賞論文
バクテロイデーテス門細菌のIX型分泌機構およびV型線毛の研究
中山 浩次
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2017 年 72 巻 4 号 p. 219-227

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抄録

Bacteroidetes門にはBacteroides属, Prevotella属, Porphyromonas属等, ヒトに共生・寄生する多くの細菌が含まれる。私たちはPorphyromonas属に含まれる歯周病原細菌であるPorphyromonas gingivalisの主要な分泌性プロテアーゼであるジンジパインおよび宿主定着性に寄与する線毛について研究を進めてきた。その過程でジンジパインは従来報告されていない分泌機構で分泌されることがわかった。さらにこの分泌機構はBacteroidetes門細菌に広く存在する機構であることやBacteroidetes門細菌の滑走運動と密接な関係があることがわかり, Por分泌機構(のちにIX型分泌機構と改名)と命名された。また, 線毛については線毛タンパク質がリポタンパク質として菌体表面に輸送され, アルギニン・ジンジパインによって限定分解されることで線毛形成が生じることがわかった。この新規の形成機構を有する線毛はBacteroides属をはじめBacteroidetesBacteroidia綱の細菌に広く存在することがわかり, V型線毛と命名された。

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