日本細菌学雑誌
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ブドウ球菌L-formに関する研究
I. ブドウ球菌L-formの誘導と固型培地上の形態について
江田 亨松岡 俊介田所 一郎
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1972 年 27 巻 5 号 p. 657-664

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抄録
Brain heart infusionを基礎培地とし,これに中外特殊寒天1%,食塩5%,馬血清15%を加えたL-form培地を用い,耳感染症由来黄色ブドウ球菌田崎株より,ペニシリンディスク法を用いて,ブ菌L-form STA-EMT-1株を誘導,分離した。本L-formは,誘導当初は増殖はおそく,集落形成まで5∼7日を要したが,継代をかさねるにしたがつて増殖速度は速くなり1∼2日で肉眼的に集落確認可能となつた。また,抗生物質を添加しなくても親株に復帰しないstable typeで,継代も容易であつたが,血液寒天培地やその他の常用培地には増殖不能であつた。集落形態を顕微鏡下で観察すると,定型的ないわゆるfried eggような形態を示し,Dienes染色により,集落構成要素をみると,暗い中心部は微細な顆粒状成分よりなり,明るい周辺部は数∼数10μの大きな細胞群より構成されていた。
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