抄録
Yersinia enterocoliticaの各種温度域における発育態度を明らかにする目的で,振とう温度勾配培養装置を用いて,0∼50Cの間の各種培養温度で本菌が示す発育態度を,同属の仮性結核菌,およびサルモネラ,赤痢菌,病原大腸菌などの腸内細菌のそれらと経時的に比較検討したところ,本菌の発育可能温度域は0Cから44Cの範囲で,至適発育温度は30C前後であつた。また,最短世代時間の平均は43.5分であり,対照として用いた腸内細菌のそれらの約2倍であつた。
なお,本菌の発育態度は仮性結核菌のそれときわめて近似していたが,腸炎起病性のある腸内細菌のそれらとは明らかに異なり,その好冷性状と世代時間の長さは本菌の特性と考えられた。