日本細菌学雑誌
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嫌気性球菌の分類学的研究
I. 臨床材料から分離された嫌気性球菌
二宮 敬宇
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1973 年 28 巻 5 号 p. 423-431

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抄録

最近の約4年間に260件の各種臨床材料から275株の嫌気性球菌を分離,同定した。Peptococcus asaccharolyticus (55株), P. prevotii (29株), P. variabilis (25株), Peptostreptococcus anaerobius (35株), Veillonella alcalescens (19株)などが多く分離され,また,同定不能のグラム陽性球菌も多く(48株)分離された。
臨床材料別ではPeptococcus 167株中115株が膿から分離され,その菌種はP. lactilyticus (91%), P. variabilis (89%), P. asaccharolyticus (77%), P. prevotii (67%)であつた。
Peptostreptococcusでは75株中腟内容物から38株,膿から30株がそれぞれ分離された。Ps. anaerobius, Ps. foetidusは腟内容から多く分離されたが,Ps. magnusは膿より多く分離された。
VeillonellaではV. alcalescens, V. parvula全21株が膿より分離された。
集落の性状,グラム染色性,菌体の形態,配列,ガス産生,インドール産生,牛乳凝固,ゼラチン液化,硝酸塩還元,各種炭水化物の分解などを検討したが,新たに菌種,菌属に特徴的な性状を見いだせなかつた。

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