日本細菌学雑誌
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低粘度Schizophyllanの免疫グロブリン産生系に及ぼす影響
鈴木 宗司小松 信彦
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1976 年 31 巻 4 号 p. 557-564

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抄録
担子菌多糖Schiz0phyllan (以下SPGと略称) を超音波処理してえた低粘度SPG (以下SPG-Sと略) について, Cunningham法による溶血ブラクテストを用いて, ヒッジ赤血球を抗原として投与した際のマウスの免疫グ獄ブリン産生系に対する作用を検討し, 次のような成績をえた。
1) SPG-SはSPGと同様に免疫グロブリン産生を促進し (アジュバント作用), その効果はマウスに対する筋肉内注射2.5~5.0mg/kgで最大であつた。
2) SPG-Sの2.5mg/kg量を筋肉内注射すると, 抗ヒッジ赤血球IgM抗体及び抗ヒッジ赤血球IgG抗体の両方の産生が刺激され,.IgM抗体は抗原を注射してから4日後に, IgG抗体は6日後に最高値を示し, その後IgM抗体は急速に, IgG抗体は徐々に減少した。
3) SPG-Sの投与ルートとしては, 2.5mg/kgの投与量で, 筋肉内, 腹腔内または静脈内注射では促進効果を示したが, 皮下注射では効果が認められなかつた。
4) SPG-S投与 (筋肉内注射) と抗原投与 (腹腔内注射) との時間的関係を調べた結果, SPG-Sを抗原投与の24時間前に投与した場合がもつとも効果的であつた。
以上の結果から, SPG-Sはマクロファージその他の網内系細胞の活性化作用を有するだけではなく, 免疫グロブリン産生細胞数をも増加させる作用のあることが明らかにされた。
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