日本細菌学雑誌
Online ISSN : 1882-4110
Print ISSN : 0021-4930
ISSN-L : 0021-4930
嫌気性コリネ及びプロピオニ属諸菌株の生物学的活性に関する比較検討
花沢 重正上之原 和子加藤 英夫柳沢 龍治荻野 武克荻原 喜雄
著者情報
ジャーナル フリー

1976 年 31 巻 5 号 p. 613-620

詳細
抄録
嫌気性コリネバクテリウム及びプロピオニバクテリウム属の代表的な5菌株を選び, ICR系マウスに投与した後の網内系賦活, マクロファージ (以下Mpと略記) ライソゾーム酵素活性, 体液性および細胞性免疫応答に及ぼす影響, さらに抗腫瘍性などの諸活性を比較検索し, 次の諸成績が得られた。
1) 脾臓, 肝臓の重量増加比はcafbon clearance能とほぼ相関し, Corynebacterium anaerobium 578>C.parvum0208>C.granulosum 0507>Propionibacterium avidum 0575>C.parvum11829株の順序であつた。
2) 各菌株の腹腔内投与4日後採取したMpのβ-glucuronidase, acid phosphataseの細胞内含有量は前述の網内系賦活能の強力なものほど低値であるという逆相関がみられた。
3) ヒツジ赤血球 (SRBC) 抗原に対する脾細胞Plaque forming cells (PFCs) 形成の促進効果や足蹠反応による遅延型過敏症の抑制効果にもかなりの菌株差があるが, 網内系賦活能の強さに必ずしも比例していなかつた。
4) Ehrlich腹水癌およびsarcoma180に対する抗腫瘍効果はC.parvum 11829株は弱く, 他の4菌株は多少の差異があるけれども強い抗腫瘍性が認められた。
以上の諸知見から, 嫌気性コリネおよびプロピオニ属の各供試菌株間には前記の諸生物学的活性にかなりの菌株差があり、これはおもにマクロファージの活性化に関連するものであると推論される。
著者関連情報
© 日本細菌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top