嫌気性コリネバクテリウム及びプロピオニバクテリウム属の代表的な5菌株を選び, ICR系マウスに投与した後の網内系賦活, マクロファージ (以下Mpと略記) ライソゾーム酵素活性, 体液性および細胞性免疫応答に及ぼす影響, さらに抗腫瘍性などの諸活性を比較検索し, 次の諸成績が得られた。
1) 脾臓, 肝臓の重量増加比はcafbon clearance能とほぼ相関し,
Corynebacterium anaerobium 578>
C.parvum0208>
C.granulosum 0507>
Propionibacterium avidum 0575>
C.parvum11829株の順序であつた。
2) 各菌株の腹腔内投与4日後採取したMpのβ-glucuronidase, acid phosphataseの細胞内含有量は前述の網内系賦活能の強力なものほど低値であるという逆相関がみられた。
3) ヒツジ赤血球 (SRBC) 抗原に対する脾細胞Plaque forming cells (PFCs) 形成の促進効果や足蹠反応による遅延型過敏症の抑制効果にもかなりの菌株差があるが, 網内系賦活能の強さに必ずしも比例していなかつた。
4) Ehrlich腹水癌およびsarcoma180に対する抗腫瘍効果は
C.parvum 11829株は弱く, 他の4菌株は多少の差異があるけれども強い抗腫瘍性が認められた。
以上の諸知見から, 嫌気性コリネおよびプロピオニ属の各供試菌株間には前記の諸生物学的活性にかなりの菌株差があり、これはおもにマクロファージの活性化に関連するものであると推論される。
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