日本細菌学雑誌
Online ISSN : 1882-4110
Print ISSN : 0021-4930
ISSN-L : 0021-4930
毒素原性大腸菌耐熱性エンテロトキシン受容体研究トピックス
平山 壽哉和田 昭裕
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 50 巻 2 号 p. 423-434

詳細
抄録

細菌性下痢毒素による水様性下痢の発症メカニズムについて,とくに腸管上皮におけるCl-の分泌促進に嚢胞性線維症遺伝子由来蛋白質(cystic fibrosis transmembrane conductance regulator:CFTR)Cl-チャンネルが関与する成績が集積されつつある。すなわち,毒素作用によって生じた環状ヌクレオチドに応答してAキナーゼがCFTR Cl-チャンネルをリン酸化し,Cl-の流出を促すものである。コレラ毒素や毒素原性大腸菌耐熱性エンテロトキシンは,毒作用の初期効果としてそれぞれサイクリックAMP,サイクリックGMPを増加させる。コレラ毒素がガンゲリオシッドGM1に結合し,ADP-リボシルトランスフェラーゼ活性によってアデニル酸シクラーゼを活性化される詳細はよく解明されている。毒素受容体と活性化される酵素が一体となっている膜結合型グアニル酸シクラーゼが毒素原性大腸菌耐熱性エンテロトキシンによって活性化されるしくみも明らかにされようとしている。

著者関連情報
© 日本細菌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top