日本細菌学雑誌
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エンドトキシンとサイトカイン
松浦 基博
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1995 年 50 巻 2 号 p. 435-449

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抄録

エンドトキシンは生体にとって有益な作用から障害的な作用にまで及ぶ,極めて多彩な活性を示す。その活性発現には,生体細胞より産生放出される種々の仲介物質の作用が介在していることが明らかになってきている。その仲介物質として,エンドトキシンの主要な標的細胞であるマクロファージ系細胞から産生放出される,TNFαやIL-1を始めIL-6,IL-8,IFNα/γ,CSFなどのサイトカイン類が大きな位置を占めていると考えられ,その役割の解明が進められている。これらサイトカインは各々が複数の活性を発現し,相互に関連し合うため,活性の発現が複雑多岐にわたり,また,活性が過剰に発現された場合には障害的な活性を発現することになると考えられている。サイトカインの産生や作用を抑制することによって,エンドトキシンショックの治療を目指す研究も進められている。また,エンドトキシン刺激によるサイトカイン産生のための細胞レベルでの刺激伝達機構に関する研究も急速に発展している。

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