日本細菌学雑誌
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殺菌物質デフェンシンとその作用機構
下田 雅子大木 一憲小橋 修
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1995 年 50 巻 2 号 p. 471-480

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抄録

食細胞の示す酸素非依存性殺菌に関与するペプチドの1つであるデフェンシンは好中球一次顆粒の主要構成成分である。デフェンシンはウサギ肺胞マクロファージ,ヒトおよびマウスの小腸Paneth細胞にも存在し,局所における防御機構にも貢献していると考えられている。デフェンシンは細菌・真菌・マイコバクテリア・ウイルス・スピロヘータをはじめ正常細胞および腫瘍細胞に対して殺滅作用を示す。デフェンシンはイオンチャンネルを標的細胞膜上に形成し膜透過性を変える。その細胞膜障害機構は仮説の域を出ないが,基本的に二量体構造をとり,1)二量体が直接膜に障害を与える,または2)標的細胞膜内に複数の二量体一二量体複合体から成る孔(pore)を形成し透過性を亢進する等のモデルが提唱されている。また,デフェンシンに対する感受性と菌の病原性との関係,各炎症疾患とデフェンシン血中濃度との関係なども近年明らかにされつつある。

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