日本細菌学雑誌
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LPS(内毒素)の活性中心付近に見出された新しい化学構造
川原 一芳一色 恭徳
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1995 年 50 巻 2 号 p. 451-469

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抄録

グラム陰性細菌のLPS(内毒素)の構造については古くからよく研究されてきたが,近年の機器分析技術の発達によりLPSの化学構造にはこれまで考えられていた以上に多様性があることがわかってきた。内毒素の活性中心であるリピドAについては脂肪酸の種類や結合位置およびバックボーンのアミノ糖の種類などに菌種による違いがみられる。特にProteobacteriaのα-2グループに属する細菌群ではこれまでの概念を大きく変えるようなリピドAが見出されている。これらのリピドAをアンタゴニストとして利用するための研究も行なわれている。一方,コア部分の糖鎖構造についても新しい知見が蓄積されてきた。リピドAとコアを結合する内部コアにはKDOとその誘導体や類縁糖から成る新しい糖鎖構造が見つかっており,それらが種あるいは属特異的抗原性を発現している。また細胞内寄生性細菌のLPSコア糖鎖の中には宿主の細胞表面の糖脂質と同一の構造と抗原性をもつものがあることが明らかになってきた。

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