ブタの浮腫病の原因菌である腸管毒血症性大腸菌O群139のHEp-2細胞への付着性を検討した。その結果,供試したO群139の計101株すべてにマンノース耐性の細胞付着性が認められた。この付着性は,F107線毛保有の有無に関係なくみられた。また,菌体の熱処理の成績から,熱安定性の高い抗原の付着への関与が示唆された。さらに,抗体を用いた付着阻止テストにより,付着にかかわる抗原を調べたところ,供試大腸菌O139:K12:H1:F107の付着性は,抗K12抗体処理により付着率,付着菌数とも有意に低下した。以上の成績から,莢膜K12抗原が本菌型の培養細胞付着性に関与しており,腸管毒血症性大腸菌O群139の付着に関連する病原因子の一つであることが示唆された。