日本細菌学雑誌
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Candida albicansの分子生物学
中川 善之
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1995 年 50 巻 3 号 p. 671-685

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抄録

酵母Candida albicansは,日和見感染の原因菌としてごく普通に見られる代表的真菌である。近年,C.albicansを材料とする従来の多くの研究課題に,遺伝子を中心とする分子生物学的手法が取り入れられようとしている。その遂行のために不可欠となる基礎的な事項をここでまとめてみた。C.albicansをはじめとする数種のCandida属酵母は,核の遺伝暗号で通常ロイシンに翻訳されるCUGを,セリンとして読むことがわかってきた。現在までに多くの遺伝子が単離されているが,中でも自律複製配列が単離されてベクターに組み込まれることにより,形質転換の系も整備されつつある。パルスフィールドゲル電気泳動と稀切断制限酵素Sfi Iの組み合せにより,大まかなゲノムマップが作成され,単離された遺伝子が存在する染色体の特定と物理的マッピングが可能になってきた。以上のような情報を載せたCandida albicans serverがインターネット上で構築され,公開されている,等について紹介する。また,我々をはじめとする幾つかの研究室で取り上げられているC.albicansゲノム内の反復配列群についても言及する。

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