日本細菌学雑誌
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ベロ毒素産生性大腸菌 (VTEC) O157の増菌培養に関する基礎的検討
岡崎 則男鈴木 理恵子佐多 辰大沢 朗渡辺 祐子山井 志朗和田 昭仁渡辺 治雄
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1997 年 52 巻 2 号 p. 505-511

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抄録
ベロ毒素産生性大腸菌 (VTEC) O157の増菌培養法につき, VTEC O157分離株を供試して検討した。トリプティケースソイブロス (TSB) において, 供試した5株のVTEC O157は培養温度 (36°C, 42°C) に係わらず旺盛な増殖を示したが, TSBにセフィキシム (CFIX), 亜テルル酸カリウム (PT) およびバンコマイシンを添加したTSB-CTVにおいては36°Cの培養で1株, 42°Cでは4株の増殖が阻止された。mECにノボビオシン (NB) を添加したmEC-NBの36°Cにおける培養では, 1株の増殖が8時間まで抑制されたものの, 24時間後の増殖は5株共に良好であった。しかし, 42°Cで培養すると, 5株中3株の増殖が阻止された。VTEC O157分離株90株のCFIX, PTおよびNBに対する感受性値 (MIC; μg/ml) は全てこれらの薬剤の培地添加濃度以上に分布した。このように, mEC-NBおよびTSB-CTVにおけるVTEC O157の増殖には培養温度が強く影響し, 42°Cでは著しい増殖阻害が認められた。従って, これらの培地は36°Cで使用するのがより適切であり, 特に, mEC-NBを42°Cで使用する現行の培養法には問題があると考えられた。また, これらの選択増菌培地に加えて, TSB等の非選択増菌培地を併用するのが好ましいと考えられた。
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