日本細菌学雑誌
Online ISSN : 1882-4110
Print ISSN : 0021-4930
ISSN-L : 0021-4930
日和見感染症としてのセラチア感染
横田 正春岡澤 昭子田中 智之
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 56 巻 3 号 p. 527-535

詳細
抄録

セラチア (Serratia) は腸内細菌科に属するグラム陰性桿菌である。通常土壌中, 水中, 空中に広く存在する常在菌である。ヒトからは敗血症などの原因菌として検出されることがあるが, 多くは Serratia marcescens によるものである。これらヒトへの感染は院内感染に関連した日和見感染症として生じる。院内感染病態は呼吸器系・尿路系感染が主で, その他小児・新生児感染, 創傷感染そして致死率の高い敗血症などがある。感染経路には輸液・輸血器具の汚染, 分娩室汚染, 消毒液, 石けんなどの汚染を含む医療環境の様々な場所・行為からの可能性がある。セラチアの感染予防には, 一般細菌に対するのと同様に, 基本的かつ効果的な消毒行為を遂行し, 加えてセラチアの薬剤耐性チェックなどが大切である。とりわけ院内感染の予防, 感染経路の遮断には院内感染対策委員会の実働が最も重要である。

著者関連情報
© 日本細菌学会
前の記事 次の記事
feedback
Top