抄録
X線または熱中性子で水稲種子を照射する前・後に数種類の化学薬品で処理をした結果の生物学的効果について,これらの放射線または化学薬品の単独処理区と比較した。その結果によればCa(NO3)2 の前処理は殆んど効果が認められず,Colchicine の後処理は放射線単独処理区に比べて稔性は向上したが,突然変異率には影響ないか(X線),却つて低下(中性子)させた。Chemical mutagen として知られている, Diepoxybutane と β-propiolactone はX線との組合せにおいては単独処理区に比べて処理植物の生存率を低下させるが,稔性を向上させ,また突然変異率も高まつた。しかし中性子との組合せではそのような効果は見られなかつた。またこれらの薬品を放射線と組み合わせることによつて,放射線単独処理の場合と異なるスペクトラムは得られなかつた。