育種学雑誌
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短日が大豆品種の花芽の分化,発達並びに開花後の登熟に及ぼす影響の品種間差異
福井 重郎松本 重男
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1961 年 11 巻 3 号 p. 185-190

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抄録
大豆品種の花芽の分化,発達に及ぼす短日の影響の品種間差異については生態型を異にする大豆7品種を用い,叉開花後の発熟に及ぼす短日の影響については生態型を異にする17品種を用い,1957年度に関東々山農業試験場(鴻巣)で戸外と硝子宝(高温区)とにおいて,自然日長区と10時間短日区を設けてポット試験を行った。試験結果の概要は次の様である。(1)自然条件下の花芽分化迄日数,花芽発達日数及び結実日数には著しく品種間差異があり,品種の生態型についてはI→II→IV→V及びa→b→c程その日数は長く,叉短日による花芽分化迄日数短縮率,花芽発達日数短縮率及び結実日数短縮率にも可成り品種間差異があり,品種の生態型についてはI→II→IV→V及びa→b→C程大きく,更に高温下における短日による上記三期間日数の各短縮率にも殆んど同じ傾向が認められる。(2)以上の様な各生態型間の差異は,処理期間中の自然日長・温度が各品種によって異るために引き起されたものでなく,各生態型品種の短日感光性の本質的差異に基くものと考えられる。(3)花芽の分化,発達並びに豊熟に対する一連の関係については,短日処理により花芽分化迄日数短縮率が大きい品種は花芽発達日数短縮率も大きいこと,開花迄日数短縮率は花芽分化期或いは発達期のみの処理よりも雨期を継続して処理した場合の方が大きいこと,短日処理による花芽分化迄員数短縮率は同一品種の花芽発達日数短縮率及び結実日数短縮率よりも常に大きいが,花芽発達日数短縮率と結実日数短縮率の大小との間には一定の傾向はみられたいこと等を認めた。(4)上記の短縮率の大小の関係は本実験の供試条件の範囲内において表現された相互関係であり,従って大豆品種の短日感光性の特性に対して一断面の反応結果である。今後更に広範の条件下で実験を行う必要があろう。
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