抄録
1・夏枯れが少なく多収の暖地向赤クローバの育種を目的とし,基礎集団とし畜試在来,北海道在来4襟,外国種3群を蒐集した。2.これらを隔離下で不良株淘汰を行なって後,収量ならび生存率の検定を行った。収量については集団間に大差なく,僅かに畜試在来がすぐれた。生存率については越冬率は比較的高く集団差異はほとんど認められなかったが,越夏率は全体に低く,かつ,集団間に著しい差があり,とくに畜試在来が勝つだ。3・この結果から目的を達成するためには,畜試在来のもつ高い越夏性を保ちながら,これと組合せ能力の高い相手集団を見出さなけれぱならないと考え,北海道在来2集団,外国3集団を相手とする単集団間交配,ならびにこれら集団を相手とする多集団間交配を行った。4.これら6組合せの組合せ能力を推定するために後代検定を行った結果,畜試在来X北海道農試在来,および畜試在来×5集団の2組合せが多収で強いヘテロシスを示し,かつ越夏率も商いことがわかった。5.この2組合せを種子増植し,地方適応性検定試験に供したところ,多くの所ですぐれた成績を示し,ほぼ所期の目的を達した。それぞれ農研1号,2号と仮名し原種生産に移している。