抄録
1.花粉の受精能力保有期問は,完熟後1日以内であり,完熟1日前の花粉は受精能力がないようである。従って,交配にあたっては,開葯直前または,開葯しつつある葯を用いることが肝要であろう。2.胚嚢の受精能力保有期間は11日以上もあり,完熟後5日までは極めて高い受精能力を示す。しかし,他の研究者の結果をも考慮に入れると,小麦交配上の安全圏は完熟後2日位と考えた方がよいであろう。このようなステージにある胚嚢を得るには,除雄に際して,除雄した穂と同一発育程度の穂に,目印をつけ,その穂が開花期に達する時期を調べればよいと考える。3.開花開葯時の8℃程度の低温は,受瀞になんらの影響も与えないようである。4・老熟受精粒の発育経過は,受粉後10日頃には外観的に正常受精粗のそれと一致するが,実際の交配にあたっては,老熟受精はさけた方がよいと考える。