抄録
1.てん菜の細胞質雄性不稔現象において,葯の組織汁液のpHが,各不稔型について発育時期別に異なることを利用して,棄却楕円を適用し,稔,不稔型個体の棄却選抜を考察した。2.各不稔型の葯の組織汁液のpHは,花粉4分子期前後と花粉期に顕著な差を示した。この2つの時期のpHの価を楕円の長軸および短軸とし,正常型,半不稔型(SSb)および完全不稔型について危険率5%の棄却楕円を画いた。3.この2つの時期による正常型と完全不稔型の楕円は,図上で完全に分離される。それで正常型または完全不稔型の集団から開花前に疑わしい個体を棄却選抜して,育種上有効に利用する事が可能と思われる