1967 年 17 巻 3 号 p. 189-193
短日処理で幼穂分化の早められた水稲の生長点が、その後の長日によってふたたび栄養生長をする生長点にもどることがある。この現象について詳細な観察を行った。その結果、短日後の長日によって、苞として分化しつつある始原体が幼葉として発育を始める、また第1次枝梗始原体が栄養生長する側芽に変るなどのことが明白に確認された。すなわち、水稲においても日長条件如何によっては、生育相の逆転現象(生殖生長から栄養生長への)が見られることが明らかとなった。不完全な短日処理の結果しばしば認められる畸型葉(不完全葉)、畸型穂などは、すべてこの現象に原因するものである。