抄録
栽培イネ(Oryza sativa L.)に理論的に期待される12型のトリゾミック植物(Primary simple trisomics)をそろえる目的で、主として農林8号について同質3倍体を普通水田よりさがし求めた。その出現頻度は圃場により異なったが、おおよそ10アール当り2株の割合であった。採集された同質3倍体は根端で2n=36が確認され、PMCのMIでは平均接合型11.11III+0.89II+0.89Iが観察された。同質3倍体に正常の2倍体の花粉を交配して得た雑種種子、および自家受粉あるいは自然受粉によって着生した種子より次代を育て、それらの染色体数を算定したところ、2nで24から30にわたる染色体数の変異がみられ、モードは25にあり、観察個体数の40%がトリゾミック植物であった。