抄録
アブラナ属の3種18系統、同質倍数体3系統、2基6倍体2系統を用い、生長点細胞・柵状組織細胞の大きさと生長率の関係を検討した。また、アブラナ属の6種6系統を用いて、生育にともなう個体全細胞数の変化および細胞当り乾物重の変化と生長率の関係を検討した。(1)高い生長率を示す系統は、生長点の分裂組織の細胞が小さく、他方細胞体積のほとんどが液胞によって占められているcortex細胞や葉肉柵状組織細胞は大きい傾向がみられた。(2)細胞内が細胞質で満たされ、細胞質が比較的均一に分布している細胞(例えば生長点のtunica-corpus域の細胞だと)では、細胞の大きさが小さければ小さい程、細胞体積に対する細胞表面積の比が大きく(細胞質体積に対する細胞表面積の比も大きく)なり、このことが細胞の生理活性を高める結果、生長率が高くなると推定される。(3)一方、液胞をもつ細胞(例えばcortex細胞、葉肉柵状組織細胞だと)では、細胞の生理活性にとって重要な位置を占めている葉緑体、ミトコンドリア、小胞体、核などを含有する細胞質部分は細胞壁に薄層となって展開している。このような細胞では、細胞の大きさが大きくなればなる程、細胞質含有物質量に対する細胞表面積の比が大きく(すなわち、相対的表面発達度が大きく)なり、細胞当りの生理活性は大きい細胞において高くなるであろう。(4)高い生長率を示す系統は、個体・細胞レベルにおいて、相対曲表面発達度(葉面積:個体乾物重比:Leaf area ratioおよび細胞表面積:細胞含有物質量比)が高い傾向がみられた。