抄録
アブラナ科作物のn=10群とn=9群との種間交雑によって人為合成ナプスを育成することは育種上有効な手段であるが、その出発点となるn=10群とn=9群の交雑は通常の方法ではほとんど成功しない。著者は油料ナタネの人為合成を目的として、交雑を容易にさせるために接木個体を用いた交配をおこなった。その結果、無処理の交配に比べてかなり高い頻度で雑種を得ることができた。この結果からは、交雑率の向上が接木という機械的な処理による生理的変化によるもので台木の種類には関係しないものなのか、ミチューリンがいうように台木の影響を受けて、いわゆる栄養近接によってひきおこされるのかは識別できなかった。しかし、いずれにしても、接木を利用することによって、交雑を容易にすることが可能のようである。