抄録
マレーシア・インドおよびタイのイネのindicaに属する6品種に日本品種を数回戻し交雑した雑種後代に、いもち病抵抗性と出穂性との密接な連鎖が観察された。いもち病抵抗性は6組合せとも共通にPi-zt遺伝子によって支配されていることが証明され、また、出穂性は感光性遺伝子によって支配されていることが推定された。両遺伝子間の組換価を乗積法によって算出すると1.7~8.1%となり、平均3.5±0.5%であった。1組合せの雑種の分離から、これらの遺伝子は、ふ先色着色遺伝子(C)および胚乳のアルカリ反応遺伝子(alk)とも連鎖しており、感光性遺伝子を仮にLmで表わすと、4遺伝子はイネの第I連鎖群にC-alk-Lm-Pi-ztの順で座上していることが推定された。このような密接な連鎖は、indica品種のいもち病抵抗性遺伝子を日本品種に導入する際に大きな障害となることが考えられた。