育種学雑誌
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稲における草型の遺伝的変異 : VI. 国際稲適応性試験から得られた成長型の品種間変異
森島 啓子岡 彦一
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1974 年 24 巻 5 号 p. 226-236

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抄録

本研究の出発点は,序論に述べたように,成長は時間の関数であり「表現型=遺伝子型+環境」と言う統計遺伝学の基本的観念は収量決定のダイナミックスを理解するには機械的すぎることである。この見地から私達は品種間雑種F7系統の成長曲線の変異を分析し,その遺伝的支配と収量要因との関係を報告Lた(0KA et al.1970)。本報告は,この点をもっと詳しく検討するため,JIBP/UM班(班長松尾孝嶺)における適応性研究の一環として,国際稲適応性試験(I.R.A.E.;MATSUO et al.1972)の成績の一部を分析した結果である。 籾収量と通常の生産形質の他に,生育途中(4回測定)の乾物重とそれぞれの測定月日ならびに成熟時乾物重が記載されたデータは1968~70年(Phase A)における静岡農試(29品種)および1971~72年(Phase B)における新潟,埼玉,佐賀,宮崎,Beaumont(テキサス)各農試の成績(10品種)から得られた。それぞれ2反覆,2肥料条件の品種試験である。各区,各品種の乾物重のデータをPearl-Reed(二次)のロジスティック方程式にあてはめ,成長曲線の特徴を示す数値として出穂前25日,出穂当日および出穂10日後の成長率(それぞれR-25,およびR0),最大成長率(R10),最大成長率を示す日から出穂までの日数(Rmax),最大成長率を示す日から成長率がその半分になるまでの日数(Max-H),などを求めた(表1,2)。これらの変異の調査から次の結論が得られた。

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