抄録
蛋白質や酵素の定性・定量試験のため,これまでクロマトグラフィ,電気泳動法などをはじめとする生化学的手法が遺伝育種の領域にも広く応用されている。しかし,植物組織を材料とする場合,試料調整時の摩砕法は簡単でないことが多く,また多大の労力を必要とした。とくに試料点数の多い集団遺伝実験あるいは雑種後代の個体検定にとっては,この試料調整の行程が最大のネックであった。筆者らは,電気泳動法の改良を重ねるうちに,泳動から分析までの行程自体は1日当たり250~300点をこなしえる方法を工夫した。しかし,溶媒をほとんど加えることたくできるだけ高濃度の試料を作成することはむずかしく,これが研究進展の障害となっていた。ここに新しい摩砕方法の開発カミ必要となり,衆知を結集した結果,短時問で均一な多数の試料を摩砕・抽出する装置を考案したので,ここに紹介し参考に供したい。