育種学雑誌
Online ISSN : 2185-291X
Print ISSN : 0536-3683
ISSN-L : 0536-3683
東アジア産ナシ類の果実中に含まれる糖成分の歴史的変化と糖組成についての主成分分析による品種分類
梶浦 一郎山木 昭平大村 三男秋浜 友也町田 裕
著者情報
ジャーナル フリー

1979 年 29 巻 1 号 p. 1-12

詳細
抄録
ニホンナシ栽培品種の起原とその変遷を明らかにして,新品種育成の基礎資料とするため,東洋産ナシ属の野生種および栽培品種,合わせて計79品種の果実に含まれる糖類(フルクトース,グルコース,ソルビトール,シュークローズ)について,その種間差,島種間差を調べた。日本在来島種を1:江戸時代中~後期に栽培記録のある品種,2:江戸時代末期から明治時代にかけて発見された品種,3:交配育成品種の3群に分けて,全糖含量を比較した結果,後期の群ほど含量が高かった。また,糖組成,特にシュークローズ率は明治に入り高くだり,最近の育成品種はやや低下した。4種の糖類の全糖含量に占める割合(%)を基に,主成分分析を行った結果,同種,同産地の品種は類似した糖組成を示し,スコアの散布図,産地等より以下の6品種群に区分した。1:二十世紀群(シュークローズ型),2:南関東群(千葉,神奈川在来品種と育成品種),3:チューゴクナシ群(ソルビトール型),4:イワナヤマナシ群(イワナヤマナシ改良品種と裏目本在来品種),5:群馬群(群馬,埼玉在来品種,フルクトース型),6:高知群。ここで,2,4,6群の糖組成は,それぞれ,1と3,3と5,5と1の中間型を示した。
著者関連情報
© 日本育種学会
次の記事
feedback
Top