育種学雑誌
Online ISSN : 2185-291X
Print ISSN : 0536-3683
ISSN-L : 0536-3683
インド稲より見出された新しい花青素着色分布遺伝子 : 稲の交雑に関する研究第LXXV報
森 宏一木下 俊郎高橋 萬右衛門
著者情報
ジャーナル フリー

1981 年 31 巻 1 号 p. 49-56

詳細
抄録
インド型品種のSurjamukhiにみられる花青素による葉茎節の一部および節間全面着色は,C-A-P基本遺伝子の各座の上位アレーレの共存下で,優性の分布遺伝子Rin1が関与して発現される形質であることが明らかとなった。また,Pin1はPn(葉茎節分布遺伝子)とは独立で,Pl座のアレーレPlおよびPlwとも異なることが知られた。ただし,Pin1はPl座と同じ第II連鎖群にあり,Plとは30.9%,lgとは40.0%の組換価を示した。3遺伝子は,lg一Pl一Pin1の順序に位置すると推定された。これまでインド型では,花青素の稲体着色に係わる多数の遺伝子が知られている。しかし,インド型の花青素着色に係わる遺伝子体系は,著者らが日本型で設定したものと著しく異なり,基本道傍子と分布遺伝子の区別も必ずしも明瞭でない。また,遺伝子の多くはII,VおよびXの各連鎖群に含まれている。今回明らかとなったPin1は第II連鎖群に一属し,DHULAPPANAVAR(1977.1979)によるPina1やPinaとは異なるものと考えられるが,日本型とインド型では連鎖群の異同に不明な点が多いため,文献上からの同定は困難である。Pin1は日本型×インド型交離から知られたので,両品種群を通じて用いうる新たな標識遺伝子として利用できよう。
著者関連情報
© 日本育種学会
前の記事 次の記事
feedback
Top