育種学雑誌
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ニホンナシ(Pyrus serotina Rehd. var. culta Rehd.)の花粉表面微細形態における品種間差異
松田 長生大村 三男秋浜 友也
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1982 年 32 巻 2 号 p. 123-128

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抄録
ニホンナシにおける品種の識別・同定に役立つ新形質を探索するため,今村秋,翠星,菊水,長寿の4品種の乾燥花粉の表面微細形態を走査型電子顕微鏡を用いて観察した。 ニホンナシの花粉外壁の模様は,指紋状であり,ウネ,微散孔,微細突起が外壁上に観察された。これらを組み合わせた微細形態が,品種により差異のあることが認められた。しかし,この微細形態は同一品種内である程度の変異がみられ,この変異は同一葯内においても観察された。 次に,形態的な差異を量的に評価するため,花粉形態の数値化を試みた。走査型電子顕微鏡写真をもとに,各品種50花粉ずつ,次の12特性を選出した。まず,花粉粒の,1.極軸の長さ,2.赤道直径,3.発芽溝間の距離を測定した。次に,同じ花粉の花粉外壁中央部5μm四方内の,4.微細突起の数,5.微散孔の数,6.微散孔の総面積,7.極軸に沿ったウネの数,8.赤道に沿ったウネの数を測定Lた。そして,9.花粉粒の形(赤道直径に対する極軸の長さの比),10.発芽溝の引っ込み(発芽溝間の距離に対する赤道直径の比),11.徹散孔1個当りの平均面積(微散孔の総面積を微散孔の数で除した商),12.ウネの傾き(極軸に沿ったウネの数に対する赤道に沿ったウネの数の比)を計算した。
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