育種学雑誌
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イネの核型分析 : III.イネ属の4種間における核型比較
倉田 のり大村 武
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1982 年 32 巻 3 号 p. 253-258

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抄録
イネの4つの種,O.sativa(AAゲノム),O.perennis(AAゲノム),O.punctata(BBゲノム)とO.officinalis(CCゲノム)の間で,核型および染色体の大きさに差があるかどうかを調べた。基準としてO.sativaの晩前期,前中期および早中期の染色体を分析し,各染色体の相対長,腕比を調べたところ,細胞周期を問わず,これらの値はほぼ一定であった。染色のパターンは時期によって異ったが,各時期におけるパターンは一定で,個々の染色体はその特徴によって同定できた。他の3種も,いずれもO.sativaと非常に類似の核型を有しており,染色体の相対長,腕比,染色パターンには差は認められなかった。さらに,染色体の絶体的犬きさに関しても,4種間には差異をみいだせたいことがわかった。つまり,各細胞周期における染色体の絶対長および幅と長さの比は,4つの種間で同一の値を示した。以上の結果,これら3種のゲノムにわたる4つの種間,少たくともここで用いた4系統の間では,染色体の形態的分化はほとんど起っていたいと考えられた。
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