育種学雑誌
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イチゴにおけるパラフルオロフェニルアラニン処理による体細胞染色体の減数
新関 宏夫福井 希一
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1983 年 33 巻 1 号 p. 55-61

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抄録

アミノ酸の類似物質であるパラフルオロフェニルアラニン(PFP)が体細胞で一染色体数を減少させることはコウジカビ,酵母などでは知られているが高等植物ではわずかにスグリ,トールフェスクとイタリアンライグラスの雑種などで知られていたにすぎない。著者らはイチゴの組織培養にPFP処理を加味してPFPがカルス形成および体細胞染色体の減数に及ぼす効果について検討した。その結果,葯由来の8倍性カルスではPFPの濃度の上昇に伴う著しい阻害効果がカルスの誘導率,生長率の両方に認められ,55mg/1の濃度でカルス誘導率は0になった。カルス誘導率を50%にする濃度,RD50は30mg/lと算定された。葯,葉柄,茎頂などの器官より誘導したカルスから57の再分化植物体を得た。PFP処理区に由来する再分化個体には染色体数が7本減少した個体が多く含まれていることが明らかとなり,PFPがイチゴ体細胞における染色体減数に効果があると結論された。

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