抄録
パンコムギの1品種CanthatchおよびCanthatchからの抽出四倍体(AABBゲノム)とAegilops squarrosa L.の2亜種3変種との交雑から得られた再合成コムギ5系統の間の穂長,節間長および稈長,並びにそれらの個体内変異について比較したところ,第1節間長と第2節間長を除いて系統間に有意性が認められ,個体内変異は下位前間について有意であった。Dゲノムの変異は一般に下位節間で認められた。Canthatchは,穂長を除いてVar.typica由来の再合成コムギより各器官が長い。一方Var.strangulata由来の再合成コムギはCanthatchと似ていた。Canthatchの個体内変異は供試系統の中間程度であった。 正準判別分析法による判別値によって,栽培種と変種間の変異を含む野生種の間の差異を引きおこしている要因が穂,稈および下位節間の長さの変異であることが明らかとなった。