育種学雑誌
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ダイズおよび野生ダイズ種子β-アミラーゼの3種電気泳動的特性の関係
中村 郁郎蓬原 雄三
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1985 年 35 巻 2 号 p. 153-159

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抄録
β-アミラーゼは,多くの植物体に分布しているでん粉・アミロースなどを加水分解する酵素である.ダイズおよびサツマイモの酵素はすでにその詳しい性質が調べられており,前者は単純タンパク質であるのに対して,後者は同じサブユニットの四量体から構成されていることが知られている.ダイズ(G.max)のβ-アミラーゼには,ゲル電気泳動法において易動度の異なる2本のバンドが認められている.この2つのバンドは一遇伝子座の共優性複対立遺伝子(Sp1a,Sp1b)に支配されていることが明らかにされた(G0RMAN and KIANG 1978, HILDEBRAND and HYM0WITZ 1980).また,MIKAMI et al.(1982)は,ゲル等電点焦点法を用いて7つのアイソザイムを認め,品種によって2つの泳動パターン,高(H)PIタイプおよび低(L)pIタイプ,を示すことを見いだした.しかし,2つの電気泳動システムにおける特性の間の関係はまだ明らかにされていない.本論文では,上記した2つの特性に加えてSDS-ゲル電気泳動法における易動度(相対分子量)を比較することにより,ダイズのβ-アミラーゼアイソザイムを荷電,分子量およびSp1遺伝子の3者によって特徴づけようとした.
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