育種学雑誌
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異種細胞質利用によるパンコムギの遺伝的変異の拡大 : 「異種細胞質農林26号」×「農林61号」の交雑から選抜したF4及びF5系統の特性
米澤 勝衛間宮 幹士P Spetsov常脇 恒一郎
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1987 年 37 巻 2 号 p. 159-169

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抄録

コムギ,エギロプス両属の細胞質に存在する大きな遺伝的変異をパンコムギ育種に利用するための試みの1つとして,エギプロス細胞質をもつパンコムギ系統に通常のパンコムギ品種を交配して得られた後代に選抜を行い,実用的に有望な系統が育成可能であるか否かを検討した. 細胞質を異にする農林26号の5系統,すなわち, Aegilops squarrosa, Ae.kotschyi, Ae.speltoides 及び Ae.longissima の4つの異種細胞質(細胞質型はそれぞれD,Sv,S及びB)及び正常細胞質(細胞質型はB)をもつ農林26号と,正常細胞質をもつ農林61号との交雑に由来するF2,F5及びF4世代で,出穂日,穂数,穂長あるいは一種重に関して選抜をすることによって計約200の選抜系統を得た.これら選抜系統を,交配組合せ正逆こみを主区,同一交配組合せ内の両親及び選抜系統を副区とする2回反復の分割区法で圃場に栽植した・栽植個体数は,各選抜系統とも1ブロック1プロット当たり14~15個体とした.両親系統については1ブロック1主区当たり4~6プロットを設けた.これら栽植個体のうちボーダー個体を除く1プロット当たり12~13個体について,出穂目,止葉長,第2葉長,株当たり穂数,桿長,穂長,上位第1~第3節間長,及び一種重の10形質を調査した.これら10形質に加えて,草型の指標形質として2つの特性値,すなわち止葉長と第2葉長との比,及び.第1節間長と稈長との比を求め,計ユ2の形質を分析対象とした。得られた主要結果は以下の通りである.

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