抄録
粒大が大きく異なるイネ5品種(BG1,Arborio J1, 改良雄町,コシヒカリ,中生新千本)を親系統として用い,相反交雑を含まないダイアレル交雑を行った。それらのF2集団および親系統において,粒大の指標として粒(籾)長と粒幅を測定し(Table1).ダイアレル分析によって解析した。なお,本実験の測定結果は,両形質ともダイアレル分析の際の仮定を満足するとみなされた(Table3,Fig.1)。 分析の結果,粒長,粒幅の双方において遺伝子の相加効果が非相加効果に比べかなつ重要であること(Table2),粒長については対立遺伝子間に部分優性の関係があり,優性遺伝子は劣性遺伝子に比べ親系統中に多数保有され,かつ一般に粒を短くする作用を示すこと,一方,粒幅については明確な優性効果が検出されないこと (Tables2and4,Fig.1)が明らかになった。 これより,粒長と粒幅に対する選抜は分離初期世代においても有効であること,および両形質は互いに異なる遺伝的制御を受けていることが示唆された。