抄録
くびれ米を発生し易いL-45×アキミノリのF2集団を青森から沖縄に至る14の地域で栽培したところ,くびれ米歩合の集団平均値は1.5~58.3%の変異を示し,各地域における豊熟初期の温度と密接な負の相関々係にあった.このF2集団と後代のF9系統群を平均20℃の制御環境下で登熟させたところ,穎(Cl)と子房(Tl)の長さのアンバランス(Tl/Cl)とくびれ米歩合の相関は密接であり,子房の本来の長さが穎に比べて長すぎることによって,くびれ米が発生するとみられた.その後代の固定系統を様々な環境で栽培したところ,Tlが豊熟初期の温度と密接な負の関係にある反面,Clは出穂後の温度の影響を受けないために,Tl/Clが豊熟初期の温度によって変動し,それに伴ってくびれ米歩合が変化するという環境的な因果関係が明らかにされた.