育種学雑誌
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トマト(Lycopersicon esculentum) と L. peruvianum var. glandulosum 間の戻し交雑第1代の自家和合性,苗条再分化能および胚横体形成
今西 茂
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1989 年 39 巻 2 号 p. 217-227

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抄録
野生種L. peruvianum var. glandulosum (以下L. per. var. glandulosum)のもつ高い植物体再生能を栽培種L. esculentumへ導入する試みとして,両種間のF1雑種を栽培種へ戻し交雑した, 戻し交雑第1代(B1 F1)について,自家和合性,苗条再分化能および胚横体形成能を調査した.自家和合性については,B1F1個体をほ場で開花させ,自然放任授粉で着果させて,着果性と種子結実性を調べた.その結果,B1F129個体中充分な着果性と種子結実性を示し,栽培種並の自家和合性と判定されたものは3個体のみであった.つぎに,親やF1とともに,栽培種とL. per. var. glandulosum間のBl F1個体8個体の苗条再分化能を葉片培養によって比較した.L. per. var. glandulosumの高い再分化能は栽培種に対してほぼ完全優性を示した.B1F1では,野生種に近いものから栽培種に近いものまでかなり幅広い分離が認められた.しかし,B1 F1は全体としてやや野生種寄りであった.自家和合性の3個体のうち,2個体は比較的高い再分化能をもつ個体であると判定された.胚横体形成能の実験では,自家和合性でないB1F1 1個体を用いた.案出来カルスを低濃度のオーキシンを含む8E培地(ZAPATAら,1981)で9日間液体振とう培養したのち,1mg/l ZR(Zeatin riboside)を含むMS寒天培地(MURASHIGEandSK00G,1962)上で培養したところ,胚横体が形成された.これによって,野生種のもつ胚横体形成能が栽培種への辰し交雑第1代まで遺伝することが確認されるとともに,液体振とう培地における植物ホルモンの種類,胚横体形成培地おけるZRの必要性についても新知見が得られた.
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