育種学雑誌
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クワイ(Sagittaria trifolia var. edulis (SIEB.) OHWI)の開花と種子発芽の促進
谷本 忠芳
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1989 年 39 巻 3 号 p. 345-352

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抄録

`青くわい'および`白くわい'の2品種のクワイの開花を促進するために,球茎を30および300ppmのジベレリン水溶液に3時間浸漬した.その後,すぐに水田土壌を入れた20l入りのバケツに植え付けて湛水状態で栽培した.`白くわい'の対、照区では21週目から開花が始まり,その開花株率は60%であった.処理区では,`青くわい'が植え付け後6週目から,`白くわい'が7週目からそれぞれ開花し始めた.`青くわい'の開花株率は30ppm区では60%,300ppm区では89%であり,`白くわい'のそれは両濃度区とも100%であった.したがって,`青くわい'では処理濃度が高い区の方が開花株率は高く,同濃度区では`白くわい'のほうが開花が容易と考えられる.1株当たりの発生花序数は1~4本で,処理濃度の高い区の方に多くの花序が発生し,同濃度区では`白くわい'のほうが`青くわい'よつも多かった.ジベレリン処理区の花序の中に奇形と思われる葉を付けた花序が,また短いランナーの先端に形成された小さい花序がそれぞれ観察された. 処理区で形成された花序と花茎の長さ,雌花と雄花の数および全花数に対する雌花数の割合については,同一区内および区間で大きな変異が認められた.2品種とも処理区で形成された花の形態は正常であり,放任受粉によって多数の種子が得られた.

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