抄録
分類学的複合体を構成するサルウィンツバキ(二倍体),トウツバキ(六倍体),ビタールツバキ(二変種;Var.pitardii:二倍体,Var.yunnanica:六倍体),ヤブツバキ(二倍体)の野生個体,ならびにトウツバキ栽培化の起源地中国雲南省でのトウツバキ数栽培品種(六倍体)の葉と花弁の数量的形質をコンピューター数理解析を行い,種間関係を調べた.葉の数量的形質の関係は,小さい葉をもつサルウィンツバキを除いて,ほぼ連続的であり,大きさの小さい順にサルウィンツバキ→ヤブツバキ→ビタールツバキ(Var.yunnanica→Var.pitardii)→トウツバキの主系列が示唆された.花弁の数量的形質は種内個体間で高い相関を示し,安定して種を表現することがわかった.