育種学雑誌
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ビールオオムギにおける穀皮歩合のダイアレル分析
佐藤 和広吉良 賢二越智 弘明成田 秀雄
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1989 年 39 巻 4 号 p. 471-480

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抄録
ビールオオムギにおける穀皮歩合は,醸造品質中の重要形質である麦芽エキスとの相関が高いことが知られている.本実験では,穀皮歩合の遺伝性と選抜効果について検討を行った.二条オオムギ100品種・系統の穀皮歩合を調査したところ,6~15%台の変異を示した.このうち,醸造用に適する31品種・系統を2反復で栽培して穀皮歩合を調べた結果,品種・系統間で6~9%台の幅がみられた.この差は1%水準で有意であった.次に8品種・系統の片面ダイアレル交雑を用いて遺伝分析を行ったところ,エピスタシスは認められず,単純な相加・優性モデルが適合した.穀皮歩合の高い方向が優性であつ,平均優性度は0.534であった.遺伝率の推定値は狭義でO.774,広義でO.888と,いずれもかなり高かった.一方,穀皮歩合の大きく異なる交雑に由来するF8系統における穀皮歩合と麦芽エキスとの相関係数は-0.829と高かった.穀反歩合の遺伝性ならびに麦芽エキスとの相関からみて,交雑初期世代における穀皮歩合による麦芽エキスの間接選抜が可能であると推察される.
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