育種学雑誌
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栽培ダイズにおける未熟胚からの不定胚形成のスクリーニング
小松田 隆夫柯 淑娩
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1990 年 40 巻 2 号 p. 249-251

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抄録

筆者らは,半野生ダイズ(Glycine gracilis)の数系統が,比較的高い不定胚形成能を示す事をすでに報告している.しかし,G.gracilisの系統が多くの不良な農業形質もあわせもつことは,育種上の問題点である.そこで,栽培ダイズ(G.max)の中から不定形胚形成能の高い系統を見い出す目的でスクリーニングをおこなった.農業生物資源研究所,植物遺伝資源配布目録から品種を無作為に選択し圃場に播種し,7-9月に着夾した栽培ダイズ290品種及び標準としての半野生ダイズ5系統の未熟胚を3%sucrose,10mg/INAAを含むMSB固形培地(pH7.0)へ置床した.培養開始6週間後,不定胚形成数を調査した。 供試した品種・系統のうち,不定胚形成を示さないものは28品種,また未熟胚当り2.O以上の不定胚を形成したものが22品種・系統であった.最高の値を示した品種は,南アフリカから導入されたBrownie DL/64/177であった.この品種は供試したG.gracilis系統の中で最高の値を示した秣食豆(公502)よりも高い値を示した唯一の品種であった.Brownieは形態的に栽培ダイズの範=に入ると判断しえた.

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