抄録
インゲンマメ種子に含有されるα-アミラーゼインヒビター蛋白質(CBAI)は,アズキゾウムシやヨツモンマメゾウムシの生育を強く阻害することから,耐虫性因子として作用していると考えられる.本研究では,CBAIを欠失したインゲンマメ品種を探索し,その欠失の遺伝様式を検討するとともにCBAI欠失品種におけるアズキゾウムシの生育を調査した.インゲンマメ212品種について,抗CBAI血清を用いた免疫二重拡散法によつCBAIの有無を調査したところ,大福-5と大福-8の2品種は抗CBAI血清と沈降帯を形成せず(Fig.1),ブタ膵臓由来のアミラーゼ活性を阻害しなかった.これら2品種は,CBAIと同時にレクチンを欠失していた(Fig2).大福-5×大正金時(正常型)の交配後代のF1及びF2の分析から,CBAIの欠失が単-劣性遺伝子支配であり,レクチンの欠失と密接に連鎖していることが確認された(Table 1).