抄録
米の窒素含量の品種間差異および栽培条件による変異と穂ぞろい期の葉色および実用形質との関係を調べた.寒冷地以南の31品種を用いて玄米の窒素含量と各形質との相関をみたところ,単相関は葉色でもっとも高く・=O.744**であった.さらに,玄米の窒素含量と葉色との偏相関係数は,出穂期・わら重・初重の効果を除いた場合でも安定して有意であった.葉色の他,玄米の窒素含量は出穂期・わら重・初重との間にそれぞれ。r=0,558**,r=0,599**,r:=0,507**の有意な単相関が認められた.しかしこれらの形質では葉色で補正すると玄米の窒素含量との偏相関は有意にはならなかった.一方,米の窒素含量は早期栽培では低下し,多肥栽培では増加したが,葉色の変動もこれとほぼ対応していた.以上のように,日本型水稲においては米の窒素含量は遺伝変異や環境変異を問わず,穂ぞろい期の葉色と高い相関関係にあることが示された.