育種学雑誌
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イネ品種のいもち病に対する抵抗性遺伝子の作用価の推定
清沢 茂久安東 郁男古谷 隆司Takashi Furutani
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1994 年 44 巻 3 号 p. 285-293

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抄録
中国・韓国・IRRIのイネ品種のいもち病抵抗性の遺伝について,日本のいもち病菌の2菌系(研54-20・青14-20)を用いて研究を行った。両菌系のレース番号はそれぞれ003.Oと337.3である。用いた品種は,中国イネ品種の四豊43号・全囲矮・南京11号,韓国品種の密陽23号・来敬・裡里338号,IRRI品種のIR24・IR36・IR2061,インド品種のRP9-3・CR44と日本品種北陸129号(ハバタキ)である。これらの品種を日本の罹病性品種レイメイ・農林22号あるいは農林29号と交配し,F3世代に累積分布曲線法で解析した。抵抗性を3段階(r,m,s)に分け,r:(m+s)と(r+m):sの比について解析し関与する遺伝子の作用価を0~1の数値で表現し,それぞれの遺伝子の作用力を推定した。ここで作用価1はその遺伝子のみを持つ系統の100%の個体がr型の抵抗性を示すことを意味する。r:(m+s)比で分析したときの作用価1の遺伝子を主働遺伝子,それ以下の遺伝子を微働遺伝子と考えて整理した。これらの品種の中に種々の主働遺伝子と微働遺伝子が検出されたが,全囲矮・南京11号の2品種の雑種は二つの相加あるいは補足作用を持つ微働遺伝子を持ち,その一つは日本イネのものと考えられた。微働遺伝子の作用価からインド型イネにも種々の異なった微働遺伝子が存在することが推定された。南京11号・全囲矮を除く品種中には1~2の主働遺伝子の存在が認められ,その内の密陽23号・来敬・裡里338号・IR24,IR36,CR44中にはPi-b遺伝子が存在することが推定された。
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