筆者ら(1983)は,第10染色体を含む5相互転座系統,台中65号(T65)の同質雄性不稔および稔性回復系統を用いた三系交雑Fユ植物における出穂期分離が25~39日に亘り1頂曲線分布を示すこと,供試相互転座系統はいずれも第10染色体の早生遺伝子を持つことを報告した.その後,それら相互転座系統の内の1つならびにその母品種より2つの早生遺伝子(Ef-1,Ef-x)が同定された(Sato et al1988,Sato et al 1992).しかし,この三系交雑F1植物での出穂期分離をそれら2遺伝子のみで説明できるものではなく,相互転座系統は更にいくつかの早生遺伝子を有していることが考えられた.そこで,この早生遺伝子を同定するために,前実験で用いた5相互転座系統を含む17系統並びに1つの標識遺伝子系統を早生遺伝子の供与親とし,T65を反復親とする10回の戻し交雑により18種のT65の同質早生遺伝子系統を育成した