抄録
4組合せの二条オオムギのF2集団とF3系統を供試して裂反粒歩合と1,000粒重の遺伝率ならびに両形質間の遺伝相関係数を推定した.F2集団における裂反粒歩合の分散から推定した広義の遺伝率は0.5~0.8,F2-F3選抜反応から推定した遺伝率は0.4~0.6,親子相関と親子回帰から推定した遺伝率はほぼ0.5であり,選抜反応から推定した1,000粒重の遺伝率はO.1~O.2であった.また,F2集団における分散と共分散から推定した裂反粒歩合と1,OOO粒重との表現型相関係数は0.1~0.3,品種内変異から推定した両形質間の環境相関係数はO.4~O.6,相関反応から推定した両形質間の遺伝相関係数は-0,1~-0.3であった.従って,裂反粒の発生が問題となっているビール麦の育種において,裂反粒歩合に対する選抜は粒重に対する選抜よりも容易であり,また,粒重に対する間接的な影響をほとんど与えないとみられる